「指揮官の流儀」は湘南スタイルの潮流と曺貴裁監督のルーツが詰まったベルマーレ入門の一冊。

こんにちは、KAZUです。

2018年2月に湘南ベルマーレの曺監督に関係する書籍が2冊ほど発売されることもあって、

2015年2月に発売された「指揮官の流儀 直球リーダー論」(曺貴裁 著 /株式会社KADOKAWA)を改めて読み直してみました。

 

 

2012年から指揮を執る曺監督のこと、ベルマーレのコーチから監督になり、現在までに至るベルマーレの歴史を振り返るのに最適な1冊ですので紹介します。

「湘南スタイル」とは。

2012年に曺監督が湘南ベルマーレの監督に就任して、チームをJ1昇格に導き、いつからかよく使われるようになった言葉の一つに「湘南スタイル」という言葉があります。

ボクの中での解釈は、

 

  • ゴールへ向かう縦への動きと縦パスを多用してスリリングなゴール前のシーンを作るサッカー
  • 全員守備・全員攻撃をベースとした上下動のハードワークによる切り替えの速さ
  • 攻撃時にはボールを持っている選手を他の選手が追い越し、人数をかけて攻撃する姿勢

 

と、試合などを見ながら定義していました。

この本の10ページに、ベルマーレのサッカー的な部分での特徴として、以下の3点が挙げられています。

 

  • 攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えが速い
  • 攻守両面において相手よりも常に人数をかける
  • パス全体に占める縦パスの割合を4割近くにする

 

そして、現在のこのベルマーレのサッカーの特徴、戦術やフォーメーションを表すだけでなく、次のことが「湘南スタイル」を表すものと曺監督は書いています。

 

攻める姿勢をとことん貫くことでお客様に楽しんでもらい、プレーしている選手たちも充実感を覚えるースタンドとピッチが同じ気持ちを共有しながら、スタジアム全体に「これがベルマーレのサッカーなんだ」と胸を張れる空間をつくり出すことが「湘南スタイル」の原点であり、定義でもあると今は思っている。

 

この本が発行されるまで3年間、曺監督は湘南ベルマーレを指揮しています。

2014年シーズンではJ2をぶっちぎりで優勝しましたが、ボールを失っても相手にすぐにプレッシャーをかけてボール奪取、そこから縦への素早い攻撃展開が際立っていました。

「お客様に楽しんでもらう」というのがよく表れているのが、例えリードしていても攻撃の手を緩めないところです。

例えば、終了間際になると無難なボール回しをしたり、相手のコーナーフラッグあたりで時間稼ぎをするというのは常套手段だと思いますが、ベルマーレは普段通りに攻め続けることがほとんどでした。

実際に、ベルマーレの選手も疲れ切っているであろう時間帯に、ロングカウンターから長い距離を走った選手がゴールを決めるシーンがありました。

今振り返ってみると、上記に挙げた「湘南スタイル」の原点はボクたちサポーターにも十分に共有されていますし、スタジアムで観戦すると選手たちのひたむきな温度が客席にも伝わってきます。

この本が発行されてから迎えた2015年シーズンはJ1で8位と、湘南ベルマーレが大きな存在感を示したシーズンでしたね。

曹監督の原点を知るエピソード。

本の前半部分は「指揮官へのあゆみ」というタイトルで、曺監督の小学校時代から書かれています。

京都府生まれで在日韓国人二世の両親の間に生まれました。

小学校4年生からサッカーを始め、父親が京都韓国中学に勤めていたことと教育方針から、父親は曺監督にサッカー部のない京都韓国中学に通わせることを考えていたため、曺監督のサッカー人としてのあゆみは消える可能性があったそうです。

しかし、サッカー少年団で共にプレーしていた同級生のチームメイトが曺監督の父親のもとを訪れ、「中学校でも貴裁くんとサッカーがしたい」と直訴。

曺監督の気持ちを推しはかって、父親は京都韓国中学ではなく、地元の中学校に通わせることにしたようです。

ボクはこのエピソードを読んで、曺監督はこのときすでにサッカーに対して真っ直ぐでひたむきで真剣で、周りの人の心を動かす力のある人そのものだったのではないかと想像しました。

父親の元に直訴したクラスメイトは1人や2人の話ではなく10人と書いてあります。

「10人」は凄い人数ですよね。

10人も子供が大挙して同じことを訴えてきたので、父親は曺監督という存在が周りに与える影響はよっぽどのものと実感したのではないでしょうか。

父親は職場の立場上の問題もあってそれでも京都韓国中学に入れようと考えていたかもしれません。

でも、両親や他の家族は曺監督のサッカーに対する想いとひたむきさを充分感じ取っていて、地元の中学に通わせることを決断したのだと思います。

このときすでに、周りの人の心を動かす力を放っていたのでしょう。

ここから曺監督のサッカー人生は高校、大学、プロ、そして指導者への道と繋がっていきます。

監督として大事にしていることが生み出すプラスのサイクル。

曺監督は、監督として「預かった選手を必ず成長させる」というのを念頭においてチームを指揮しています。

実際に、何人かの選手たちは大黒柱としての働きが認められ、また輝くポテンシャルを発揮して、移籍していきました。

この本は2015年シーズン開始前に発行されているのですが、

2015年シーズンをJ1リーグ8位で終えたのち、主力選手だった永木亮太、遠藤航、古林将太、秋元陽太らが新天地へ旅立ちました。

サポーターからすると彼らの成長を見続け、喜びを共有してきた選手が応援するチームを去っていくことに寂しさを感じるのは当然のことだとおもいます。

しかし、湘南ベルマーレで過ごした日々が他のチームからも必要とされる存在になったというのは喜ばしいことで、他の選手たちやユースでプレイする選手にも勇気を与えます。

そして、実はこの「選手をいかに成長させられるか」というのが「湘南スタイル」との両輪となって近年の湘南ベルマーレを作ってきたと言えると感じます。

武富孝介、丸山祐市は2014年のJ2優勝に多大な貢献をし、彼らのキャリアの中でもたくさんの試合で活躍しました。

武富孝介は柏レイソルに戻ったあとも活躍し、2018年からは浦和レッズでプレイします。

丸山祐市はベルマーレに期限付き移籍する前はFC東京でプレイの機会は少なかったけど、FC東京に戻ってからは日本代表に選出されるほどになりました。

今いる選手に目を向けると、2016年に浦和レッズから期限付き移籍してきた岡本拓也は2018年も期限付き移籍を延長し、ベルマーレで3年目のプレイとなります。

2017年に柏レイソルから期限付き移籍で加入した秋野央樹も期限付き移籍を延長し2018年は背番号10をつけます。

同じ柏レイソルで将来を渇望されている小林祐介は2018年から期限付き移籍で加入しています。

つまり、去っていく選手もいるけど、「ベルマーレに自己の成長を求めて愛着のあるクラブを離れて移籍してくる選手がいる」という循環が起きています。

さらなる成長を求めてきた選手がもがきながらも成長し、ベルマーレを勝利に導いたり昇格させたりという原動力になりました。

こうして選手の顔触れは変わりながらも、湘南ベルマーレというクラブは確実に右肩上がりに成長しています。

今年は、山田直輝が浦和レッズに復帰しました。3年間プレイして身につけたもの、そして本来持っている技術を思う存分発揮してレッズで輝いて欲しいと思います。

そうやって、ベルマーレで影響を受けた選手が他のチームで活躍し、またベルマーレで得たものを共有することで、ベルマーレはサッカー界を支えるクラブとして根をはっていきます。

「指揮官の流儀 直球リーダー論」は他に、ミーティングを何よりも大切にすること、責任を負うこと、自立すること、など興味深く今のベルマーレに繋がるテーマがたくさん書いてあります。

いくつかのベルマーレ関連本、曺監督関連書籍がありますが、この本はまさに曺監督を知る、曺監督のチームマネジメントを知る、そしてこれまでの湘南ベルマーレというチームを知るという意味での原点です。

ぜひ、手にとってみてくださいね♪

 

 

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