こんにちは、イギリスが大好きなKAZUです。
「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズやテレビでおなじみの池上彰さんの「池上彰の世界の見方」シリーズ、
イギリスとEU
が2019年11月28日に小学館から発売されました。
EUに加盟していたイギリスは2016年の国民投票の結果、EUからの離脱が決まり、そのことについてフォーカスした書籍ですが、イギリスの基本的な情報から歴史までが網羅されており、
ボクのようなイギリス好きにはもちろんのこと、イギリスのことをあまりよく知らない人にもオススメできる本と感じたので簡単に紹介します。
目次 [contents]
『池上彰の世界の見方 イギリスとEU』の目次。
本書の目次は以下の通りです。
- 第1章 連合王国から見るイギリス
- 第2章 EU離脱から見るイギリス
- 第3章 歴史から見る今のイギリス
- 第4章 二大政党制から見るイギリス
- 第5章 階級社会から見るイギリス
- 第6章 軍事大国としてのイギリス
EU離脱という本題に入る前に、イギリスがどのような国家であるかが書かれています。
そして、EU離脱という選択に至った背景を見るべく、宗教の観点から見たイギリスの歴史、議会の歴史的変遷、イギリスの特徴の一つである階級社会、さらには軍事面での影響へと幅広い話が展開されています。
『池上彰の世界の見方 イギリスとEU』の読みどころ。
印象に残ったところを中心に、読みどころをピックアップします。
イギリスは連合王国
2019年に日本でラグビーワールドカップが開催されたときに「イギリス代表」は存在せず、「イングランド代表」「スコットランド代表」「ウェールズ代表」「アイルランド代表」が出場していました。
ボクたちが呼んでいる「イギリス」というのは、
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
のことです。ブリテン島にある3つの王国と北アイルランドを併せてイギリスが成り立っています。
本書の良いところは、イギリスのことがわからなくても、イギリスの国家としての成り立ちから王国間の関係、王室について簡潔に書かれているところです。
イギリスとポーランドとの関係
これは全くボクの知らなかったことでしたが、第二次世界大戦の時にポーランドがソ連とドイツに分割されてしまい、ポーランドの亡命政権がイギリス国内にできたことから、ポーランド人が大量にイギリスに移民してきた歴史があるんですね。
EU加盟国からイギリス移住者の割合という円グラフがあるのですが、そこでポーランド人はナンバー1です。
イギリスには、無料の医療保険制度があり、移民が増える理由の一つでもあります。
しかし、移民が増えればイギリス人個々の医療制度を受けるアクセシビリティが鈍化していき不利益を被るので、移民を増やしたくない、不満を持った高齢者がEU離脱を支持するという流れですね。
でも、歴史的にポーランド人の移民が多いからといって、病院で長時間待たされることの原因がポーランド人と考えてしまうのはちょっと考えものの気がしますが…
ブレグジットの最大の問題点、北アイルランド問題
ブリテン島の西にあるアイルランド島には、アイルランド共和国とイギリスの一部である北アイルランドが存在しています。
アイルランドはEU加盟国ですので、EU圏内で人もモノも自由に行き来ができていたわけですが、イギリスがEU離脱するとなると、検問所や税関を復活させなければなりません。
アイルランドと北アイルランドは1998年までの約30年間、紛争状態にありました。
宗教的な問題が大きく関係しているわけですが、本書では16世紀のイングランド国王ヘンリー8世が原因の発端を作ったとして語られています。
ヘンリー8世、プロテスタント、ジャガイモ飢饉、パックンがキーワードです。
いや、パックンは直接関係しませんけど、池上彰さんがこういう話しを突然盛り込んでくるのが面白いです。
是非、本書を手に取って、お笑い芸人のパックン、ではなくて、アイルランドと北アイルランドの歴史と国境問題の争点を知ってみてください。
階級社会の真の意味
イギリスは階級社会というのはよく知られているところです。
ミュージシャンのThe BeatlesやOasisは労働者階級の出身で、イングランドサッカー界を牽引したデイヴィッド・ベッカムさんも労働者階級の出身です。
上流階級に属する貴族やエリートはボクたちがニュース等で耳にする格調高いイギリス英語(RP=容認発音)で話します。
階級による職業の違い、好むスポーツの違い、読んでいる新聞の違いなど、階級に関する知識を確認する内容が書かれているのですが、
ボクはちょっとイギリスの階級社会を誤解していたところがあったなと読んで思いました。
「階級」と聞くと、差別があったりお互いにいがみあっている印象があったりしたのですが(池上彰さんは差別がないわけではないと書いていますが)、
階級の違いはお互いの世界の違いであることを認め、身分が高い人たちは社会的義務を果たさなければならない、という世界観があるというのを初めて知りました。
従って、戦時中はエリートが率先して戦場に飛び込んでいく、そのため、エリートに戦死者が多かったというのは初耳です。
池上彰さんの授業だから、わかりやすい。
本書は、東京都立富士高等学校で池上彰さんが「イギリスとEU」をテーマに授業されたものを文字に起こしたものです。
テレビで見ている池上彰さんのように、相手(読者)に質問を投げかけながら、所々におもしろエピソードを交えて話している(書いている)のでとてもわかりやすいです。
地図や写真、年表、グラフが入っていて、政治や歴史、ましてや軍事関係の話しが苦手な人にとっても内容は頭の中にスッと入ってくるのと同時に、短時間で楽しく読めるはずです。
『池上彰の世界の見方 イギリスとEU』のまとめ。
- 2019年11月28日発売
- 定価1,400円+税
- イギリスの連合王国の成り立ちがわかる
- EU離脱に至る過程とその後の膠着状態がわかる
- 政治や歴史、軍事関係の話しに疎くてもストレスなく読める
繰り返しますが、池上彰さんの説明、とてもわかりやすいです。
高校の授業での内容を文字に起こしただけあって、読むとまさにそこは池上彰さんの講義が始まったような感覚になります。
なにより、イギリス好きにとってまた違った角度からイギリスを見つめ直す機会になりました。
お読みいただきありがとうございます!
Thank you for your smile 😀
画像引用元:Amazon.co.jp